改正資源有効利用促進法は2026年4月1日に施行され、メーカーに再生プラスチックの利用計画を出させ、解体しやすい設計を認定し、回収目標を掲げた認定メーカーとその受託者には廃棄物処理法の業許可を不要にする——この3つが処理業者の商売に直接つながる[2]。義務の名宛人はメーカーだが、再生材の買い手・回収の委託元・設計の相手方として、処理業者の側にも仕事の形を変える力が働く。

政策体系そのものも変わった。経済産業省は、3Rを前提に静脈産業へ焦点を当ててきた従来の体系を、「動静脈連携」を基本とするCE型へ刷新することが必須だと説明している[2]。動脈側のメーカーに義務を課し、静脈側の処理業者と接続させる法律になった、という理解が出発点になる。

この記事は、排出側・メーカー側の義務を「処理業者が自分の商売にどう読むか」に絞って解説する。なお、初回の計画提出期限を「2027年6月末」と書いた解説がまだ出回っているが、施行版の経産省資料では「令和8年10月以後最初に開始する事業年度から適用(初年度は令和9年9月末まで)」と明記されている[2]。本記事は施行版資料の日付で書く。

資源有効利用促進法とは

資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律・平成3年法律第48号)は、使用済物品と副産物の発生を抑え、再生資源・再生部品の利用を促すための法律だ[1]。廃棄物処理法が「廃棄物を適正に処理させる」法律なら、資源法は「そもそも廃棄物にしない・資源に戻す」ための法律で、義務の名宛人は主にメーカーと事業者になる。

改正前の骨格は、業種と製品を政令で指定し、それぞれに判断基準を示して事業者に取り組ませる仕組みだった。環境省の概要ページでは対象を10業種・69品目としている[4]。類型は、特定省資源業種・特定再利用業種・指定省資源化製品・指定再利用促進製品・指定表示製品・指定再資源化製品・指定副産物の7つで、いずれも法第2条に定義がある[1]。パソコンや小形二次電池の自主回収(指定再資源化製品)や、プラスチック製容器包装の識別表示(指定表示製品)は、この改正前の枠組みで動いてきた制度だ。

なぜ2026年に大きく手を入れたのか。背景の数字は経産省の資源循環経済小委員会が示している。国内の廃プラスチック発生量は年800〜900万t規模で、再生資源としての国内利用率は約5%にとどまる[6]。発生量は大きいのに再生材が使われない、という構造が動脈側の義務化に踏み込む根拠になった。

2026年4月改正の4本柱

改正の柱は4つある。経産省の説明資料の整理をそのまま使うと、次の表になる[2]。

柱

内容

主な条文

処理業者との接点

① 再生資源の利用計画・定期報告

自動車・家電4品目・プラ製容器包装のメーカー等に、再生プラスチックの利用計画の提出と毎年度の報告を義務付ける

第21〜25条

再生プラの売り先が法定化される

② 環境配慮設計の認定

解体・分別しやすい設計、長寿命化につながる設計を国が認定し、表示・調達・金融支援で優遇する

第29〜33条

解体性が設計要件になる。設計指針が処理業者との連携を求める

③ GX原材料の再資源化促進

高い回収目標を掲げて認定を受けたメーカー等に廃棄物処理法の業許可特例を与える。対象製品にLiB内蔵の3品目を追加

第53〜57条

認定計画に記載された受託者も業許可不要になる

④ CEコマース

シェアリング等の事業者類型を位置付け、資源の有効利用の基準を設定する

第4条・第21条・第26条

直接の影響は薄い

政令側の改正(対象製品・数量要件)は令和7年12月12日に公布され、法律と同じ令和8年4月1日に施行された[3]。以下、処理業者に関係の深い①③を厚く、②を中くらいに、④を短く扱う。

柱①:再生プラスチックの利用計画義務(第21〜25条)

対象製品と数量要件

義務がかかる製品は「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」で、第一弾は再生プラスチックが対象になる。政令で定めた製品と、計画・定期報告の対象になる生産量(製造発注を含む)または販売量(輸入販売に限る)の要件は次のとおりだ[2]。

製品

数量要件

プラスチック製容器包装

1万t

自動車

1万台

ユニット形エアコンディショナ

5万台

テレビ受像機

5万台

電気冷蔵庫

5万台

電気洗濯機

5万台

容器包装のうち、飲食料品(指定PETボトルを除く)と医薬品の容器包装は対象から外れている[2]。経産省はこの数量要件で容器包装全体の約6割、自動車では国内大手メーカーすべて、家電では生産量と輸入量の93〜99%をカバーすると説明している[2]。中小メーカーを網にかける制度ではなく、大手の需要を法定化する制度だと読んでよい。

メーカーに何をさせるか

仕組みは4段階になっている。主務大臣が再生資源の利用について判断基準を定め(第21条)、要件に該当するメーカー等は再生資源の利用に関する計画を作成して主務大臣に提出する(第23条第1項)。計画を提出した者は毎年度、実施状況を定期報告する(第24条)。取り組みが著しく不十分なら勧告・公表・命令に進む(第25条)[1]。

資源有効利用促進法 第23条第1項

指定脱炭素化再生資源利用促進事業者であって、その事業年度における当該指定脱炭素化再生資源利用促進事業者の製造(その事業の用に供するために発注して製造することを含む。第二十五条第一項及び第二十九条第一項において同じ。)又は販売に係る指定脱炭素化再生資源利用促進製品の生産量(その事業の用に供するために発注して製造したものの生産量を含む。第二十五条第一項において同じ。)又は販売量が政令で定める要件に該当するものは、主務省令で定めるところにより、第二十一条第一項に規定する判断の基準となるべき事項において定められた脱炭素化再生資源の利用の促進のために必要な計画的に取り組むべき措置の実施に関する計画を作成し、主務大臣に提出しなければならない。

つまり、一定規模以上のメーカーは、再生プラスチックをどれだけ使うかを毎年度9月末までに国へ計画として出さなければならない。

資源有効利用促進法 第24条

前条第一項の規定により計画を提出した指定脱炭素化再生資源利用促進事業者は、毎年度、主務省令で定めるところにより、当該計画の実施の状況に関し、主務省令で定める事項を主務大臣に報告しなければならない。

つまり、計画を出したメーカーは、翌年度から毎年、実際に使った再生プラスチックの量と率を国へ報告し続けることになる。

計画(様式第1)には、製品の種類ごとの再生プラスチック利用量・利用率と技術の向上に関する事項を書く。定期報告(様式第2)には実績の利用量・利用率に加え、前年度より改善できなかった場合の理由を書かせる[2]。「国産再生プラスチックの利用量」は定期報告の任意項目で、義務ではないが報告欄が用意されている[2]。

再生プラスチックの定義は、プレコンシューマ材とポストコンシューマ材の両方を含む。経産省資料の表現では「使用済物品等又は副産物を原材料として利用することができる状態にしたプラスチック」だ[2]。工場内の端材由来も、市中回収由来も、どちらも計画の数字に乗る。

スケジュール

計画は毎年度9月末までに提出する。ただし令和8年10月以後最初に開始する事業年度から適用されるので、初年度の提出期限は令和9年(2027年)9月末になる。定期報告は令和9年10月以後最初に開始する事業年度から適用され、初年度は令和10年(2028年)9月末までだ[2]。計画に変更がなければ、最大5年間(自動車は最大10年間)は新たな計画の提出が不要になる[2]。

よくある誤解

誤解初回の計画提出は2027年6月末
実際施行版の経産省資料では令和9年9月末。6月末は審議会段階の資料に由来する古い情報[2]
誤解対象はポストコンシューマ材だけ
実際プレコンシューマ材(工場端材等)も再生プラスチックに含まれる[2]
誤解国産の再生材を使う義務がある
実際国産再生プラ利用量は定期報告の任意項目。義務ではない[2]
誤解中小メーカーにも計画義務がある
実際数量要件(容器包装1万t・自動車1万台・家電各5万台)に該当する事業者だけ[2]

罰則

計画を提出しなかった、あるいは定期報告をしなかった・虚偽の報告をした場合は20万円以下の罰金(第72条)。第25条の命令に違反した場合は50万円以下の罰金(第70条)。法人にも罰金刑が科される両罰規定がある(第73条)[1]。廃棄物処理法の罰則に比べれば軽いが、公表(第25条)のほうが大手メーカーには効く。罰則の刑名・条番号は2026年9月27日にe-Gov施行版で照合した。

処理業者にとっての意味

売り先の需要が法定化される。ただし、それは「再生プラなら何でも売れる」という話ではない。メーカーは計画と定期報告で再生プラスチックの利用量・利用率を国に示す以上、仕入れる再生材について「何由来か(プレコン/ポストコン)」「どこで再生されたか(国産か)」を数字で押さえる必要が出る。定期報告の任意項目に国産再生プラ利用量が置かれていること[2]は、国産を優先する意図の表れで、供給側にトレーサビリティを求める根拠になる。

もう一つ見逃せないのが第23条第2項だ。計画を作成する際、GX投資事業者が生産する再生資源の利用について配慮することが求められている[1]。国内の設備投資で作られた再生材を優先させる仕組みで、輸入再生材と競合する国内処理業者には追い風になる。

柱①の制度の細部(対象製品の詳細、様式の記載事項)は、プラスチック資源循環法の解説記事プラスチック資源循環法は処理業に何を変えるか——許可制度との違いと確認すべき実務点と役割を分ける。本記事は「メーカーの義務が処理業者の仕事をどう変えるか」に絞る。

柱②:環境配慮設計の指針と認定(第29〜33条)

主務大臣は、環境配慮設計に関する指針を定める。指針に書かれる事項は第29条第2項に4項目あり、そのうち第3号が処理業者に直結する。自主回収と再資源化のための収集・運搬・処分の事業を行う者との連携に関する事項だ[1]。

資源有効利用促進法 第29条第2項第3号

自主回収及び再資源化のための使用済物品等の収集、運搬及び処分(再生を含む。第十章(第五十四条第三項第三号ロ及びハを除く。)において同じ。)の事業を行う者との連携に関して対象指定製品製造事業者等が取り組むべき事項

つまり、環境配慮設計の指針そのものに「処理業者と連携すること」が書き込まれている。

指針に照らして特に優れた設計(解体・分別しやすい設計、長寿命化につながる設計)は、申請により主務大臣の認定を受けられる(第30条)。認定した設計の製品情報は国が公表し(第30条第6項)、国の調達で配慮される(第32条第1項)[1]。認定製品の表示や、リサイクル設備投資への金融支援は経産省の説明資料が挙げている特例だ[2]。認定の実務を担う指定調査機関の制度(第33条以下)もあるが、処理業者が直接関わる場面は少ない。

処理業者にとっての意味は中長期に出る。解体しやすさ・分別しやすさが認定要件になる以上、認定製品が市場に増えれば処理現場の手間と単価の構造が変わる。もう一点、指針が処理業者との連携を求めていることは、メーカーの設計部門と処理現場が接点を持つ法的な根拠になる。「この構造は解体に何分かかる」「この樹脂の組み合わせは選別できない」という現場の情報を設計側に返す行為に、制度上の居場所ができた。

柱③:LiB内蔵3品目の指定と「業許可不要」の特例(第53〜57条)

処理業者に最も影響が大きいのがこの柱だ。指定再資源化製品の枠組みを使い、高い回収目標を掲げて認定を受けたメーカー等とその受託者に、廃棄物処理法の業許可を不要にする。

3品目の追加と、その理由

指定再資源化製品に、電源装置(モバイルバッテリー等)・携帯電話用装置(スマートフォン等)・加熱式たばこデバイスの3品目が追加された[3][5]。いずれもリチウムイオン電池を内蔵し、電池だけを取り外しにくい一体型の製品だ。

経産省の資料は指定の要件を3つ挙げる。資源性(小型LiBの回収量を拡大する意義)、安全性(処理現場での発煙・発火リスク)、一体型製品の回収体制の必要性だ[5]。背景にはLiB起因と疑われる火災の急増がある。NITEの集計で、令和元年度の9,732件から令和5年度には21,751件へ倍以上に増えた[7]。処理業者なら、破砕機やパッカー車で燃えた経験が身近にあるはずで、この数字は現場感覚と一致する。

認定の仕組み

主務大臣が自主回収と再資源化の判断基準を定め(第53条)、メーカー等は自主回収・再資源化事業計画を作成して認定を申請する(第54条第1項)。計画には、委託先の氏名または名称と、収集・運搬・処分のどれを委託するかを記載する(第54条第2項第7号)[1]。ここが処理業者にとっての入口になる。

認定には欠格要件があり、廃棄物処理法第14条第5項第2号のイ・ロ・ヘが準用される(第54条第3項第3号)[1]。廃棄物処理法の許可を取り消された者や暴力団関係者は、こちらの認定も受けられない。

廃棄物処理法側の欠格要件の中身は、産廃業の許可取消し・事業停止はなぜ起きたか|行政処分の公表事例49件を類型で読むで扱っている。

計画に書いていない者に委託した場合は認定の取消し事由になる(第55条第4項第2号)[1]。「認定メーカーから頼まれたから」という口約束で受けると、受けた側は無許可、頼んだ側は認定取消しになる。

廃棄物処理法の特例(第57条)

第57条が本記事の主役だ。項ごとに読む。

資源有効利用促進法 第57条第1項

認定自主回収・再資源化事業者は、廃棄物処理法第七条第一項若しくは第六項又は第十四条第一項若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定自主回収・再資源化事業計画に従って行う使用済指定再資源化製品の再資源化に必要な行為(一般廃棄物(廃棄物処理法第二条第二項に規定する一般廃棄物をいう。第七項において同じ。)又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分に該当するものに限る。第三項において同じ。)を業として実施することができる。

つまり、認定を受けたメーカー等は、認定計画に従って行う再資源化に必要な行為について、廃棄物処理法第7条(一般廃棄物処理業)と第14条(産業廃棄物処理業)の許可を受けずに業として行える。

資源有効利用促進法 第57条第3項

認定自主回収・再資源化事業者の委託を受けて使用済指定再資源化製品の再資源化に必要な行為を業として実施する者(認定自主回収・再資源化事業計画に記載された第五十四条第二項第七号に規定する者に限る。)は、廃棄物処理法第七条第一項若しくは第六項又は第十四条第一項若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定自主回収・再資源化事業計画に従って行う使用済指定再資源化製品の再資源化に必要な行為を業として実施することができる。

つまり、認定計画に記載された受託者も、計画の範囲内であれば同じく業許可なしで収集・運搬・処分を行える。

第4項と第5項は、許可不要になった認定事業者と受託者を廃棄物処理業者とみなして、廃棄物処理法の処理基準(第6条の2第8項・第12条第5項)・帳簿の作成保存(第7条第15〜16項・第14条第12〜15項等)・名義貸しの禁止(一般廃棄物は第7条の5・産業廃棄物は第14条の3の3)を、罰則も含めて適用する[1]。許可という入口の手続きが省かれるだけで、処理の中身に課される義務は許可業者と同じだ。

第6項は、これらの者を廃棄物処理業者とみなして改善命令(廃棄物処理法第19条の3)を適用する。処理基準に反する処理をすれば、知事から改善命令を受ける。第7項は、一般廃棄物処理基準に反する収集・運搬・処分を要求・依頼・教唆し、あるいは助けた認定事業者を、措置命令(廃棄物処理法第19条の4)の処分者等とみなす規定だ[1]。第57条に出てくる廃棄物処理法側の条番号は、令和8年9月16日施行版の廃棄物処理法と一致することを確認している。産業廃棄物の措置命令(第19条の5)は第57条に出てこない。

なお、第57条第2項には委託の基準を政令で定める旨があるが、その施行令の中身は本記事では確認していない。委託基準の詳細は施行令を直接当たること。

「高い回収目標」の水準

経産省の説明資料は「高い回収目標等を掲げて認定を受けたメーカー等」に特例を講じると書いている[2]。具体的な目標水準(何年で何倍か)については、本記事の執筆時点で一次資料での確認ができていないため記載しない。省令・告示で確認でき次第、更新する。

処理業者にとっての意味(3つ)

第一に、競合の構造が変わる。認定計画に記載された受託者は、同じ3品目について業許可なしで収集・運搬・処分ができる。許可を持つ処理業者からすれば、許可を持たない事業者が同じ品目で仕事を取りうる、ということだ。ただし対象は「認定計画に従って行う再資源化に必要な行為」に限られ、計画の外に出れば無許可営業になる。

第二に、入口が計画の記載にある。第54条第2項第7号の受託者として計画に記載されれば、認定計画の範囲で許可なしに再資源化行為ができる。本記事はこれを制度の構造として説明するにとどめ、計画に記載されるための手続きや交渉の進め方には踏み込まない。認定の申請主体はあくまでメーカー等で、処理業者側は委託を受ける立場になる。

第三に、許可不要は「軽い仕事」ではない。処理基準・帳簿・名義貸し禁止・改善命令が業者とみなして適用される以上、現場の義務は許可業者と変わらない。むしろ、火災リスクの高いLiB内蔵製品を扱う以上、保管・破砕・運搬の各工程で安全対策の水準が問われる。LiBの処理工程の細部は別記事リチウムイオン電池は特別管理産業廃棄物か 中小処理業者が押さえる火災リスクと保管管理の要点に譲る。

柱④:CEコマース

シェアリングやサブスクリプションのように、製品を売らずに貸す事業者を「賃貸の事業を行う者」として判断基準の対象に含めた(第21条・第26条)。事業者の責務(第4条)にも資源の有効な利用に関する規定が入る[1]。処理業者への直接の影響は薄い。レンタル製品の使用済み品が回収・処分に回る段階で、通常の廃棄物処理法の枠組みに乗るだけだ。

処理業者が今やること

改正の全体像を廃棄物処理法の側から押さえるには、廃棄物処理法(廃掃法)の解説を、罰則の体系は罰則記事廃棄物処理法の罰則一覧|処理業者の許可が飛ぶ違反はどれか、拘禁刑対応で整理を参照。委託基準や帳簿の条文は廃棄物処理法施行規則のポイントで扱っている。

条文照合日: 2026-09-27(e-Gov法令検索・令和8年9月16日施行版)