廃棄物処理法を読んでいると、肝心なところで必ず「政令で定める」に突き当たる。委託の基準は政令で定める。許可の有効期間は政令で定める。再委託ができる場合の基準も政令で定める。その「政令」が、廃棄物処理法施行令(昭和46年政令第300号)だ。

処理業者にとって、この政令は排出事業者向けの記事で語られるよりずっと近い場所にある。自社の許可が5年で切れるのも、優良認定を取れば7年になるのも、下請けに回すときに排出事業者の書面が要るのも、すべてこの政令が決めている。法律を読んでも書いていないし、施行規則を読んでも書いていない。

この記事は、処理業者が自分の許可と受託業務を守るために参照する条文を軸に、施行令の全体像を逆引きの地図として整理する。
法律本体の全体像は「廃棄物処理法(廃掃法)とは」で、実務の期限や様式を定める省令は「廃棄物処理法施行規則のポイント」で扱っている。

施行令は法律と省令の間で何を引き受けているか

三段の役割分担は、法律が義務の骨格を、政令が対象と基準の大枠を、省令が期限・様式・数値を定める、という並びになる。政令は内閣が閣議決定で定めるもので、環境省限りで改正できる省令とは重みが違う。

階層

名称

定めるもの

処理業者に効く例

法律

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)

義務の骨格・罰則・許可制度そのもの

業の許可を要すること、再委託の原則、無許可営業の罰則

政令

同法施行令(昭和46年政令第300号)

対象と基準の大枠、期間・数量の区切り

許可の有効期間(5年/7年)、再委託の基準、委託基準、保管の日数上限

省令

同法施行規則(昭和46年厚生省令第35号)

期限・様式・数値・添付書類

マニフェストの返送期限、許可申請の様式、優良基準の具体的内容

施行令で押さえておくべき性格が二つある。ひとつは、数量と期間の区切りを決めているのがほとんど政令だということ。5年・7年・7日分・14日分・1,000トン・50トンといった、現場の判断が分かれる境界線は政令にある。もうひとつは、政令もまた末端を省令に投げていること。委託契約書の記載事項も、優良認定の中身も、政令は「環境省令で定める」で終わっている。三段のどこで話が止まっているかを見ないと、条文をたどる先を間違える。

施行令の条文地図

産業廃棄物に関する規定は第三章(第6条〜第7条の11)に集まっている。ただし処理業者に関係する条文は雑則(第六章)にも散っているので、実務の疑問から引ける形にした。

知りたいこと

条文

中身

何が産業廃棄物か

第2条

法第2条第4項第1号を受けた政令指定分(紙くず〜第13号)

特別管理産業廃棄物とは何か

第2条の4

廃油・廃酸・廃アルカリ・感染性・特定有害(PCB、廃水銀等、廃石綿等ほか)

産業廃棄物の処理基準

第6条第1項

収集運搬/処分・再生/埋立処分/海洋投入の4区分

積替保管の数量上限

第6条第1項第1号ホ

1日あたりの平均的な搬出量に7を乗じた数量

処分施設の保管上限

第6条第1項第2号ロ(3)

施設の1日あたり処理能力に14を乗じた数量

委託基準

第6条の2

法第12条第6項を受ける。許可業者への委託、書面契約、記載事項イ〜ヘ、保存

多量排出事業者の線引き

第6条の3

前年度の発生量1,000トン以上の事業場

帳簿が要る排出事業者

第6条の4

処理施設を設置、事業場外で自ら処分、法第12条の7の認定を受けた者

特管産廃の処理基準・委託基準

第6条の5・第6条の6

委託は事前の文書通知+第6条の2の準用

特管の多量排出事業者

第6条の7

前年度の発生量50トン以上の事業場

収集運搬業の許可の有効期間

第6条の9

5年/優良認定で7年

欠格要件でいう「政令で定める使用人」

第6条の10

第4条の7を準用(本店・支店、契約権限を持つ事業所の代表者)

処分業の許可の有効期間

第6条の11

第6条の9と同構造

再委託の基準

第6条の12

排出事業者の書面承諾、再受託者への文書交付、輸入廃棄物は不可

特管業の有効期間・再委託

第6条の13・第6条の14・第6条の15

産廃側と同構造

施設設置許可(15条許可)が要る施設

第7条(第1号〜第14号)

汚泥脱水10m³/日超、焼却、破砕5t/日超、最終処分場ほか

熱回収認定施設の処分基準

第7条の3

保管上限は処理能力の21日分

焼却禁止の例外

第14条

公共施設の管理、災害対応、風俗慣習・宗教行事、農林漁業、軽微なたき火

指定有害廃棄物

第15条・第16条

硫酸ピッチとその保管・処理基準

有害使用済機器

第16条の2・第16条の3

対象32品目と保管・処分の基準(法第17条の2)

廃棄物再生事業者の登録

第17条〜第22条

登録の申請・変更・休廃止・取消し

許可権者は誰か

第27条

一部の事務を除き指定都市・中核市の長が処理

産業廃棄物の種類(第2条)は分量が大きいので、別稿で扱う。

許可の有効期間を決めているのは政令である

処理業者にとって施行令で最も実務に近い条文が、許可の更新期間を定める第6条の9(収集運搬業)と第6条の11(処分業)だ。

廃棄物処理法施行令 第6条の9

法第十四条第二項の政令で定める期間は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める期間とする。

一 新たに法第十四条第一項の許可を受けた者 五年

二 法第十四条第二項の許可の更新を受けた者であつて、当該許可の更新に際し、従前の許可の有効期間(同条第三項に規定する許可の有効期間をいう。)において法第十四条の三の規定による命令を受けていないことその他の当該許可に係る事業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者として環境省令で定める基準に適合すると認められたもの 七年

三 法第十四条第二項の許可の更新を受けた者であつて、前号に掲げる者以外のもの 五年

この条文の構造には、現場で誤解されやすい点が二つある。

一つ目は、7年が適用されるのは「更新を受けた者」に限られること。 第1号は新規許可を受けた者で、期間は5年と書き切っている。優良認定の7年は第2号にしかなく、その第2号は「許可の更新を受けた者」を対象にしている。つまり新規許可の段階で7年は出ない。最初の5年を走り切り、更新のタイミングで優良認定と一緒に申請して初めて7年になる。

二つ目は、7年の要件が政令には書かれていないこと。 第2号が挙げているのは「法第14条の3の規定による命令を受けていないこと」——改善命令・事業停止命令を受けていないという遵法性の部分だけで、あとは「その他の……環境省令で定める基準」に投げられている。事業の透明性(情報のインターネット公表)、環境配慮の取組(ISO14001やエコアクション21)、電子マニフェストへの加入、財務体質の健全性といった中身は、すべて施行規則の側にある。優良認定の準備を政令だけ見て進めることはできない。

処分業の第6条の11も、条番号と参照先の項が違うだけで構造は同じだ。特別管理産業廃棄物の収集運搬業(第6条の13)と処分業(第6条の14)も同様に5年と7年で並んでいる。4業種すべてが同じ設計になっているので、複数の許可を持つ事業者は更新の年次がばらつく。許可証ごとに満了日を管理する必要があるのはこのためだ。

実務上の効き方でいうと、7年は「2年得をする」話ではない。更新のたびに発生する申請書類の作成、講習会の受講、手数料、審査待ちの期間が7年に一度になる。営業面では、優良認定業者への委託は排出事業者側の確認義務が軽くなる自治体もあり、委託先として選ばれる理由になる。認定の維持コストと、更新頻度の低下と営業上の位置づけを合わせて損益を見るのが実際の判断になる。

再委託の基準——処理業者が主語になる条文

委託の話は排出事業者の義務として語られることが多いが、施行令には処理業者自身が主語になる委託規定がある。第6条の12の再委託基準だ。

法第14条第16項が再委託を制限し、そのただし書が政令で定める基準に適合する場合の例外を置いている。その基準がこれにあたる。

廃棄物処理法施行令 第6条の12

一 あらかじめ、事業者から受託した産業廃棄物の運搬又は処分若しくは再生を委託しようとする者(以下「再受託者」という。)の氏名又は名称(法人にあつては、その代表者の氏名を含む。)及び当該委託が第六条の二第一号又は第二号に掲げる基準に適合するものであることを当該事業者に対して明らかにし、当該委託について当該事業者の書面による承諾を受けていること。

二 再受託者に当該産業廃棄物を引き渡す際には、その受託に係る契約書に記載されている第六条の二第四号イからハまで及びホに掲げる事項を記載した文書を再受託者に交付すること。

読み解くべき点は三つある。

承諾を出すのは排出事業者であって、元請の処理業者ではない。 第1号の「当該事業者」は、もとの産業廃棄物を出した排出事業者を指す。運搬が立て込んで同業者に応援を頼むとき、頼む側と頼まれる側の合意だけでは足りない。排出事業者に、再受託者が誰で、その委託が第6条の2第1号・第2号(許可業者であり事業範囲に含まれること)に適合していることを明らかにしたうえで、書面をもらう必要がある。しかも「あらかじめ」であって、事後の追認では基準を満たさない。

渡すべき情報が条文で特定されている。 第2号が挙げるのは、第6条の2第4号のイからハまでとホ——廃棄物の種類と数量、運搬の最終目的地、処分・再生の場所と方法と施設の処理能力、そして中間処理を委託する場合の最終処分の場所・方法・処理能力だ。もとの委託契約書に書かれている内容を、引渡しの時点で再受託者に文書で渡す。口頭やチャットでの共有では条文の要求を満たさない。

第3号は輸入廃棄物、第4号は第6条の2の準用で、再委託先も許可業者であること、書面契約であること、契約書を保存することが求められる。再委託は「同業者に一時的に手伝ってもらう」感覚で運用されがちだが、条文の要求水準は通常の委託と変わらないうえに、排出事業者の事前承諾という上乗せがある。

繁忙期の応援や車両故障時の融通が日常的に発生する事業者ほど、この手続きを事前に型にしておく価値が高い。承諾書の様式を用意して主要顧客と運用を握っておけば、突発時に「承諾が間に合わないから受けられない」という判断をせずに済む。

特別管理産業廃棄物の再委託については第6条の15があり、第6条の12に加えて、排出事業者から通知された性状等の情報を再受託者へ文書で通知することが求められる。

委託基準(第6条の2)と、省令へのつながり

再委託の基準が繰り返し参照している第6条の2が、産業廃棄物の委託基準そのものだ。

廃棄物処理法施行令 第6条の2

法第十二条第六項の政令で定める基準は、次のとおりとする。

法第12条第6項が「政令で定める基準に従わなければならない」と書き、それを受けてこの条が具体化する。中身は6号あり、実務で効くのは次のところだ。

内容

第1号・第2号

運搬・処分/再生とも、業として行うことができる者で、かつ委託内容がその事業の範囲に含まれる者に委託すること

第3号

輸入廃棄物の処分・再生は原則として委託できない

第4号

委託契約は書面で行い、イ〜ヘの事項の条項を含み、環境省令で定める書面(許可証の写し等)が添付されていること

第5号

契約書と添付書面を、契約終了の日から環境省令で定める期間保存すること

第6号

再委託の承諾をしたときは、その書面の写しを承諾の日から環境省令で定める期間保存すること

第4号のイからホまでは、廃棄物の種類と数量、運搬の最終目的地、処分・再生の場所と方法と施設能力、輸入廃棄物である旨、中間処理の場合の最終処分の場所・方法・能力を挙げている。そして最後にこう置かれている。

廃棄物処理法施行令 第6条の2第4号ヘ

ヘ その他環境省令で定める事項

契約書の記載事項に関する議論のほとんどは、この一行の先で起きている。 2026年1月1日に施行された委託契約書の改正——第一種指定化学物質を含む産業廃棄物についての記載追加——も、政令ではなく規則第8条の4の2の改正だった。政令の条文は動いていない。三段構造のどこが改正されたのかを見誤ると、政令を確認して「変わっていない」と判断してしまう。省令の改正内容は施行規則の記事で扱っている。

特別管理産業廃棄物を委託する場合は第6条の6が加わり、委託しようとする相手にあらかじめ種類・数量・性状等を文書で通知することが求められる。いわゆるWDS(廃棄物データシート)の運用が結びつくのがこの条文だ。

処理基準と保管の日数上限

処理基準は第6条第1項が本体で、収集運搬、処分・再生、埋立処分、海洋投入処分の4区分で構成されている。一般廃棄物側の第3条を「規定の例による」形で広く引いているため、条文を単体で読んでも完結しないのが読みにくさの原因になっている。

処理業者の日常判断に直結するのは、保管の数量上限だ。政令は場面によって異なる係数を置いている。

場面

条文

上限

収集運搬の積替えのための保管

第6条第1項第1号ホ

1日あたりの平均的な搬出量の7倍

処分施設での保管

第6条第1項第2号ロ(3)

施設の1日あたり処理能力の14倍

熱回収認定施設での保管

第7条の3第1号ロ(2)

施設の1日あたり処理能力の21倍

分母が違う点に注意がいる。積替保管は「搬出量」が基準で、処分施設は「処理能力」が基準だ。処理能力に対して実稼働が低い施設では、能力ベースの14倍が実態よりかなり大きく出る。逆に積替保管は搬出が滞ると分母が下がり、上限も一緒に下がっていく。搬出が止まっているときほど上限が厳しくなる設計になっている。

特別管理産業廃棄物も7倍・14倍・21倍で同じ数値が置かれている(第6条の5第1項第1号ニ、同第2号リ(3)、第7条の3第3号ロ)。囲い、掲示板、飛散流出防止といった保管場所の要件そのものは施行規則側で定められている。

現場での判断基準

施行令を読むときの実務的な指針をまとめる。

次に動きそうなところ

施行令第16条の2は、有害使用済機器として32品目の電気電子機器を指定し、その保管・処分の基準を第16条の3が定めている。いわゆる雑品スクラップヤードに対する規制で、2017年の法改正で入った枠組みだ。

この領域は、その後さらに範囲が広がる方向にある。使用済みの金属・プラスチック物品の保管業や再生業を許可制とする法改正が成立しており、施行は公布から一定期間内の政令指定日とされている。施行に向けて、対象範囲や基準の具体化は今後の政令・省令改正で示されることになる。有害使用済機器の届出で対応してきた事業者にとっては、届出から許可への移行が視野に入る。動きが確定した段階で別稿で扱う。


条文照合日: 2026年8月26日(e-Gov法令検索/施行令は令和8年4月1日施行版、法・規則は令和8年7月1日施行版)

この記事の出典
  1. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)/e-Gov法令検索(令和8年4月1日施行版・最終改正 令和8年3月27日政令第66号・2026年8月26日照合)
  2. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)/e-Gov法令検索(令和8年7月1日施行版・2026年8月26日照合)
  3. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)/e-Gov法令検索(令和8年7月1日施行版・2026年8月26日照合)
  4. 環境省「優良産廃処理業者認定制度
  5. 環境省「優良産廃処理業者認定制度 運用マニュアル」(平成23年3月・令和2年10月改訂)