FEEDSTOCK
PEプラスチック素材・相場

廃プラスチックリサイクルが産廃扱いになる境界線とは?有価物判定と許可実務を整理

有価か廃棄物かは取引実態や性状まで含めた総合判断で決まり、誤った線引きは無許可処理につながる。廃プラスチックリサイクルの現場実務における判定基準と注意点を整理する。

廃プラスチックリサイクルが産廃扱いになる境界線とは?有価物判定と許可実務を整理
この記事の目次
  1. 01「有価で売れれば産廃ではない」というのは本当か
  2. 02廃プラスチックとは何か——条文上の位置づけ
  3. 03収運・中間処理の現場ではどう扱われているか
  4. 04有価物・逆有償・再生プラスチックとの違い
  5. 05廃プラに当たるなら、何を確認するか
  6. 06よくある質問

廃プラスチックは有価で売れれば産業廃棄物ではなくなる——現場でよく聞く理屈だが、それは条件付きの話でしかない。結論からいえば、有償で取引されているかどうかは判断材料のひとつに過ぎず、汚れの程度・取引の実態・処理の経緯まで含めて総合的に見られるため、ここを取り違えると収運や中間処理の許可品目の扱いを誤り、委託実務そのものに波及する。

「有価で売れれば産廃ではない」というのは本当か

一部だけ正しい。廃棄物処理法上、「廃棄物」に該当するかどうかは占有者の意思だけで決まるものではなく、取引価値、性状、排出の経緯などを踏まえて実質的に判断されるというのが、行政の一貫した立場である。よく「売れれば有価物」と言われるが、それは市場での取引実態が伴っている場合に限られるという前提が抜けており、ヤードに滞留させたまま買い手がつかない廃プラを「いずれ有価で売る予定」として長期保管する行為は、保管基準違反として問題になりやすいだけでなく、その時点で説明責任も重くなる。

判定を誤る影響は小さくない。産業廃棄物であるかどうかの判定を誤ると、無許可の運搬・処分に該当するおそれがあり、逆有償(処理料金を上乗せしてようやく引き取ってもらえる状態)の廃プラを有価物扱いのまま動かせば、収運の許可品目からも外れる。この線引きは契約書の建値だけで完結するものではなく、実際の取引記録で裏付ける必要があるため、請求書、受払記録、継続的な売買実績まで確認して初めて説明可能になる。

廃プラスチックとは何か——条文上の位置づけ

廃プラスチックは、廃棄物処理法施行令が定める産業廃棄物の種類のひとつに位置づけられている。燃え殻・汚泥・廃油・鉱さい・ばいじん・木くずなどと並ぶ区分であり、業種を問わず排出されるプラスチックくずが対象になる。事業活動に伴って生じたプラスチックくずは、家庭ごみの廃プラとは扱いが異なり、産業廃棄物として排出事業者責任のもとで管理されることになる。

位置づけを条文だけで理解しても、実務の感覚とはまだ結びつきにくい。環境省が公表している調査によれば、令和4年度における全国の産業廃棄物の総排出量は3億7,400万トンであり、前年度の3億7,592万トンからわずかに減少している。廃プラスチックはこの総排出量のうちの一区分にすぎないが、全体の母数を押さえておくことで、廃プラの排出・処理の位置づけを把握しやすくなり、個別の処理フローを検討する際にも見誤りが少なくなる。

委託の場面では、次の規定が実務の土台になる。

廃棄物処理法 第12条第6項

事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

つまり、委託基準を満たさない委託そのものが違反になる。

委託基準には、許可を持つ収集運搬業者・処分業者への委託、委託契約書の書面化、マニフェスト(管理票)の交付などが含まれる。廃プラの中間処理では、破砕・圧縮梱包・洗浄選別を経て再生原料化する工程が一般的だが、その前段の積替保管の時点で既に許可品目・保管基準の縛りがかかるため、ここを軽視すると中間処理施設側の問題にとどまらず、排出事業者側の委託管理の不備として直接問われることになる。

収運・中間処理の現場ではどう扱われているか

現場では、廃プラは品位(汚れの少なさ、単一素材かどうか)によって行き先が大きく変わる。きれいに分別されたPP・PEのバージン端材に近いものは有価物として再生プラスチックメーカーに流れやすい。一方で、複合素材や汚れの強い廃プラは逆有償で中間処理に回ることが多く、同じ「廃プラ」でも処理コストと出口が大きく異なる。

指標

数値

出典・年次

廃プラスチックの有効利用率

87%

プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識」(2022年実績)

マテリアルリサイクル率

21%

同上

サーマルリサイクル(熱回収)率

63%

同上

単純焼却・埋立の割合

13%

同上

プラスチック資源循環促進法の施行日

2022年4月1日

e-Gov法令検索

この数値は一般廃棄物と産業廃棄物を合算した業界団体の集計であり、環境省の公式統計とは別枠である点に注意が必要だ。産業廃棄物の廃プラだけを切り出した公的な内訳は、確認が必要な段階にとどまる。それでも、サーマルリサイクルが6割超を占め、マテリアルリサイクルが2割程度という構図は現場感覚とも近く、中間処理施設の多くが破砕・選別後に再生原料化できない部分をセメント原燃料や固形燃料(RPF)として熱利用に回している実態を理解する材料にはなる。

単年だけで結論を急がない視点も欠かせない。同協会が公表した2023年実績では、廃プラスチック総排出量は769万トン、有効利用率は89%(マテリアルリサイクル22%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル62%)となっており、前年の2022年実績(823万トン、有効利用率87%)と比べて排出量はやや減少し、有効利用率はわずかに上昇している。年ごとの振れ幅を見ながら、単年のデータだけで判断しない姿勢が実務では求められる。

多量排出事業者や優良認定を受けた処理業者では、廃プラの品位管理を数値で記録し、再生マテリアルとしての出荷先を電子マニフェスト(JWNET)上でも追跡できるようにしているところがある。特管(特別管理産業廃棄物)に該当する廃プラは限られるが、感染性廃棄物由来のプラスチック容器などは特別管理産業廃棄物管理責任者の管理下に置かれる点も通常の廃プラとは別扱いになるため、現場では区分の確認を先に済ませておく意味が大きい。

有価物・逆有償・再生プラスチックとの違い

有価物と廃プラスチックは、取引条件で入れ替わる関係にある。買い手が処理料金を受け取らずに購入するなら有価物であり、排出側が処理料金を支払って引き取ってもらうなら逆有償で廃棄物だ。ただし、価格がゼロ円やごくわずかな金額の場合、その取引が実質的に有価物取引と言えるかは、継続性や市場相場との整合性まで見て判断されるため、単発の売買条件だけで整理するのは危うい。

再生プラスチックという言葉も混同されやすい。これは廃プラを原料として再生した後の製品・原料を指す用語で、廃棄物処理法上の「廃棄物」区分とは別の話だ。廃プラを中間処理して再生プラスチックのペレットにした時点で、有価物として流通する段階に入る。ここで押さえておきたいのは、これは品質の問題ではなく、取引実態と契約書・マニフェストの整合性の問題だという点であり、品位の高い再生ペレットであっても、途中の運搬・保管の記録が抜けていれば委託基準違反を問われるリスクは消えないということである。

廃プラに当たるなら、何を確認するか

事業活動で生じたプラスチックくずが有償で継続的に取引されているなら、有価物として扱ってよい可能性は高い。だがその前に、取引の継続性・市場相場との整合性・保管期間の妥当性を契約書と記録で裏付けられるかを確認する必要がある。裏付けが弱い廃プラは、産業廃棄物として委託契約書とマニフェストを整え、収運・中間処理とも許可品目に廃プラスチック類が含まれる業者に委託するのが安全な選択であり、その確認を事前に済ませることが後工程のトラブル回避にどうつながるかまで含めて、担当者が説明できる状態をつくっておくことに実務上の意味がある。

よくある質問

取引実態が真に有価物と認められる場合のみ不要です。価格がゼロに近い、継続性が乏しいなどの場合は逆有償と判断され、廃棄物処理法第12条第6項に基づく委託基準・マニフェスト交付の対象になります。

この記事の出典
  1. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137
  2. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346CO0000000300
  3. プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律 e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC0000000060
  4. プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識」 https://www.pwmi.or.jp/pages/toukei
  5. 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度実績)について」 https://www.env.go.jp/press/110498_00002.html
  6. プラスチック循環利用協会「2023年廃プラスチック総排出量は769万t、有効利用率は89%」 https://www.pwmi.or.jp/column/column-2566/