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雑品スクラップは廃棄物処理法の対象か 中小業者が押さえるべき有価物判断と届出制度

雑品スクラップは価格の有無だけで廃棄物該当性が決まらず、有害使用済機器の届出制度など条文上の要件を確認しないと無許可保管・処分のリスクが残る。

雑品スクラップは廃棄物処理法の対象か 中小業者が押さえるべき有価物判断と届出制度
01排出
02収集運搬第14条第1項
03中間処理第14条第6項
04再生原料
05製品・出荷
整理は編集部。条文は主要なものに限る。
この記事の目次
  1. 01有価物か廃棄物かは価格だけで決まらない
  2. 02なぜ2017年前後に規制が強化されたか
  3. 03実務での使い分け基準
  4. 04よくある質問

雑品スクラップの荷を前にして、これは有価物だから廃棄物処理法は関係ないと言い切れる担当者は少ない。雑品スクラップとは、家電や電線、モーター、基板などの金属を含む使用済み物品が分別されずに混在したスクラップを指し、有価で売買される一方で、廃棄物処理法上の規制対象になる場合がある。見た目は同じ金属の山でも、扱い方を間違えると許可なしの保管・処分として行政指導の対象になり得るため、初動の見極めが実務上の負担や後続対応の重さを左右することになる。

有価物か廃棄物かは価格だけで決まらない

雑品スクラップの該当性は、逆有償かどうかだけでは決まらない。二次資料では「売れるものは有価物だから廃棄物処理法の対象外」とされがちだが、条文を当たると廃棄物処理法第2条第1項は「廃棄物」を占有者にとって不要な物として定義しており、価格の正負は判断要素の一つにすぎない。根拠は行政実例・裁判例で採られてきた総合判断であり、占有者の意思、性状、排出の状況、通常の取扱形態などを総合的に見る考え方が前提になるため、単価表だけで整理しようとすると判断を誤りやすい。

指標

内容

出典・年次

廃棄物の定義

占有者にとって不要な物を含めた総合的な判断枠組み

廃棄物処理法 第2条第1項(e-Gov法令検索)

有害使用済機器の届出制度

保管・処分を業とする者に都道府県知事への届出義務

廃棄物処理法 第17条の2(平成29年法律第61号による新設、施行平成30年4月1日)

対象品目の定め方

基板・鉛蓄電池等を含む品目を政令で列挙

廃棄物処理法施行令 第16条の2

公表された統計は限られている。雑品スクラップそのものの排出量・保管量を継続的に集計した政府統計は見当たらない。環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等」は品目別の産業廃棄物量を扱うが、有価物として流通するスクラップは統計の枠外に置かれやすく、したがって数値で語れない部分は条文と届出制度の枠組みで押さえるしかないのが実態であるため、判断のよりどころをどこに置くかを最初に明確にしておく必要がある。

なぜ2017年前後に規制が強化されたか

火災や不適正保管が相次いだことが背景にある。雑品スクラップのヤードには家電や電池が混在しやすく、リチウムイオン電池の混入による発火が全国の保管場所で問題になった。これは分別の甘さだけの問題ではなく、有価物という扱いを盾に規制の網から外れていた構造の問題でもあったため、これを受けて廃棄物処理法が改正され、有害使用済機器の保管・処分を業として行う者に都道府県知事への届出義務を課す第17条の2が新設された。対象になる機器の範囲は施行令第16条の2で定められており、基板や鉛蓄電池を含む品目が列挙されている。

条文上の要件と実務で外しやすい点はここにある。届出義務は「業として」保管・処分を行う場合に生じるが、現場では自社で発生した金属くずを一時的に集積しているだけだと考え、届出の要否を検討しないまま保管場所を拡張してしまうケースが起きやすい。品目が有価物であることと、届出の要否は別の判断軸であり、実際の保管実態や反復継続性を踏まえて整理しない限り、制度の射程を見誤るおそれがどこで生じるのかを社内で説明しにくくなる。

実務での使い分け基準

雑品スクラップを扱う現場でまず整理すべきは、その荷が許可品目に当てはまるかどうかだ。収運の許可は品目ごとに交付されるため、廃プラや木くず、汚泥などの許可を持っていても、金属くずや複合的な雑品スクラップまで運べるとは限らない。中間処理施設で選別・解体を行う場合も同じで、許可証に記載された品目と実際に受け入れる荷の中身を突き合わせる作業が要る。

有価物として仕入れる場合でも、排出事業者責任の考え方は消えない。逆有償で引き取っている実態があるなら、廃棄物として委託契約書とマニフェスト(管理票)を整え、電子マニフェスト・JWNETでの報告を含めた運用に切り替える判断が必要になる。特管(特別管理産業廃棄物)に該当する部材が混入する可能性がある場合は、特別管理産業廃棄物管理責任者の関与も検討事項に入る。積替保管の拠点を持つ事業者は、火災予防の観点からヤード内の保管高さや分別区画、鉛蓄電池・リチウムイオン電池の隔離を運用ルールとして固定しておくと、届出制度の趣旨とも整合する。

品位(金属含有率など)が取引価格を左右する市況商品である点も見落とせない。建値の変動に応じて逆有償に転じる可能性があるスクラップは、契約時点で有価物だったからといって恒久的に廃棄物処理法の対象外と扱い続けるのは危うい判断であり、多量排出事業者に該当する取引先から継続的に受け入れる場合は、優良認定(優良産廃処理業者認定制度)の取得状況や委託契約書の更新頻度も、監督側が確認しやすいポイントになる。最終処分場(安定型・管理型・遮断型)への搬入を伴う残さが発生する処理工程を持つ事業者は、雑品スクラップの選別後に残る廃棄物の処分先を、許可品目・搬入基準の両面で事前に確認しておく必要があり、この確認を先に済ませておくことで後工程の停滞や受入拒否を避けやすくなる。

次にやるべきことは、まず自社が受け入れている雑品スクラップの品目と、収運・処分の許可証に記載された許可品目を照合することだ。そのうえで、保管・処分を業として行っているかどうかを整理し、届出の要否を所管の都道府県窓口で確認する。この二つを先に済ませておけば、逆有償に転じた際の対応も後手に回らずに済み、判断の根拠を社内で共有しやすくなり、担当者ごとの解釈のぶれも抑えやすくなる。

よくある質問

有価物であっても保管・処分の実態次第で規制対象になり得ます。廃棄物処理法第2条第1項の廃棄物該当性は価格だけで決まらず、占有者の意思や取扱形態を含めた総合判断で見られます。

この記事の出典
  1. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137
  2. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346CO0000000300
  3. 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/sangyo.html