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03 中間処理処理の実務

産業廃棄物の混合廃棄物選別、許可品目とズレる手順の見直し方

混合廃棄物の選別は品目分けで終わりではなく、委託契約書記載の許可品目と一致させて初めて完結する。手順設計に必要な組成把握の考え方を解説する。

産業廃棄物の混合廃棄物選別、許可品目とズレる手順の見直し方
01排出
02収集運搬第14条第1項
03中間処理第14条第6項
04再生原料
05製品・出荷
整理は編集部。条文は主要なものに限る。
主要データ
産業廃棄物 総排出量
367,249.6千t令和5年度(2023年度)・環境省『産業廃棄物排出・処理状況調査』(令和5年度実績)2026-08-28 取得時点
中間処理量
287,295.9千t令和5年度(2023年度)・環境省『産業廃棄物排出・処理状況調査』(令和5年度実績)2026-08-28 取得時点
再生利用量 計
200,788.3千t令和5年度(2023年度)・環境省『産業廃棄物排出・処理状況調査』(令和5年度実績)2026-08-28 取得時点
この記事の目次
  1. 01混合廃棄物の選別精度が処理コストを左右する
  2. 02選別を始める前に確認すべき前提条件
  3. 03選別手順を6ステップで進める
  4. 04よくある取り違えと根拠条文
  5. 05現場での判断基準
  6. 06よくある質問

混合廃棄物を「とりあえず手で分ける」現場は、実は処理コストを自分で押し上げている——結論からいえば、選別工程の設計をJWNET登録前の受入時点から決めておくかどうかで、中間処理業者の再生利用率も最終処分費用も大きく変わる。二次資料では「選別は破砕・圧縮の前工程」とだけ説明されることが多いが、条文を当たると、選別そのものが処理基準の一部として扱われている。根拠は廃棄物処理法第12条第6項と、これを受けた施行令の処理基準規定だ。

混合廃棄物の選別精度が処理コストを左右する

結論を先に書く。選別精度が低いまま中間処理に回すと、再生利用できるはずの品目が最終処分側に流れ、処分費用がかさむ。

環境省『産業廃棄物排出・処理状況調査』(令和5年度実績)によれば、産業廃棄物の総排出量は367,249.6千t[1]、このうち中間処理量は287,295.9千t[1]に上る。中間処理を経た後の再生利用量計は200,788.3千t[1]、最終処分量計は8,746.1千t[1]だ。減量化量は157,715.2千t[1]で、破砕・脱水・焼却などの中間処理でどれだけ減るかを示す数値になる。

指標

数値

出典・年次

産業廃棄物 総排出量

367,249.6千t

環境省(令和5年度実績)

中間処理量

287,295.9千t

環境省(令和5年度実績)

再生利用量 計

200,788.3千t

環境省(令和5年度実績)

最終処分量 計

8,746.1千t

環境省(令和5年度実績)

この調査は平成24年度に推計方法が変更されており、それ以前の年度と単純に比較すると数値の意味が変わる。したがってここでは令和5年度の値を1時点の実態として引用するにとどめる。選別の精度が上がるほど、この再生利用量200,788.3千tに寄与する側に品目が回りやすくなる——逆に選別が甘いと、本来分別できる木くずや廃プラが混合のまま処分ラインに流れ、処分費用と最終処分場の残余年数の両方を圧迫する。

選別を始める前に確認すべき前提条件

選別作業に着手する前に、許可証と契約書の内容を照合しておかないと、後工程そのものが違反になる可能性がある。

中間処理業の許可は品目ごとに与えられる。搬入された混合廃棄物の中に自社の許可品目に含まれない廃棄物が混ざっていた場合、それを処分すれば許可外処理に当たる。よく「選別すれば何でも受け入れられる」と言われるが、それは選別後に非許可品目が出ないという前提が抜けている。実務では、建廃(建設系混合廃棄物)にがれき類・木くず・廃プラ・汚泥が混在するケースが典型で、選別の結果として自社の許可品目にない特管(特別管理産業廃棄物)が混ざっていたと分かることもある。この場合は特別管理産業廃棄物管理責任者を通じた対応が必要になり、通常の中間処理ラインでは扱えない。

委託契約書とマニフェスト(管理票)の記載品目も、実際に搬入された混合廃棄物の中身と一致しているか確認する必要がある。電子マニフェスト(JWNET)上の品目コードと現物が食い違っていると、排出事業者責任の所在があいまいになったまま処理が進むことになる。積替保管を経由している場合は、保管基準(施行令等が定める積替え・保管の基準)に沿って荷姿・区画が管理されているかも合わせて見ておきたい。

選別手順を6ステップで進める

結論からいえば、選別は「受入時点の目視選別」と「破砕後の機械選別」の二段構えで設計したほうが、単一工程で仕分けるより歩留まりが安定する。

  1. 受入検査——搬入車両からの荷卸し前に、マニフェストの品目欄と現物の外観を照合する。
  2. 一次選別(手選別)——がれき類・木くず・廃プラ・汚泥など、外観で判別できる品目を粗く分ける。
  3. 破砕——一次選別で残った混合分を破砕機にかけ、粒度をそろえて後工程の選別精度を上げる。
  4. 二次選別(機械選別)——磁選・風力選別などで金属片・軽量物(廃プラ等)をさらに分離する。
  5. 圧縮・梱包——選別済みの再生利用可能な品目を圧縮し、搬出先ごとに荷姿を整える。
  6. 記録——選別後の品目区分と数量をマニフェストの実績欄・JWNET上の処分終了報告に反映する。

このうちステップ2の一次選別が全体の精度を決める。ここで見落とした異物は、破砕工程でかえって混ざり込みやすくなるからだ。特にばいじん・鉱さいのような粉状・粒状の廃棄物は、破砕後に他の品目と分離しづらくなる。受入時点で分けられるものは、破砕前に分けておくのが実務上の基本になる。

選別後の品目が「逆有償」(処理料金を受け取りながら有価物として売却する形態)で流れる場合、契約上の扱いが通常の委託処理と異なることがある。ここは排出事業者との契約内容次第で、選別担当者の判断だけで決められる話ではない。

よくある取り違えと根拠条文

結論からいえば、「選別すれば委託基準の外に出る」という理解は誤りだ。選別後に生じる産業廃棄物も、委託・処理の各基準の対象であり続ける。

廃棄物処理法 第12条第6項

事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

つまり、委託基準を満たさない委託そのものが違反になる。

この条文は委託する事業者側の義務を定めたものだが、中間処理業者が受託した後の処分行為にも、施行令が定める処分基準が別途かかる。選別によって品目が変わっても、処分基準そのものから外れるわけではない[2]。ここは「選別=分別された廃棄物として新たに扱われる」という感覚的な理解と、法令上の処分基準が継続してかかるという実務のズレになる。

よくある誤解

誤解選別すれば許可外品目でも処理できる
実際許可は品目ごとの範囲指定であり、選別後も許可品目の範囲内でしか処分できない
誤解マニフェストの品目欄は搬入時のままでよい
実際選別で品目構成が変わった場合、実績欄に反映しないと排出事業者責任の所在が不明確になる
誤解逆有償なら委託基準の対象外になる
実際逆有償の取引形態であっても、産業廃棄物としての処理基準・委託基準の適用は別途判断される
誤解選別担当者の裁量で特管を通常処理に回してよい
実際特管の疑いがある廃棄物は特別管理産業廃棄物管理責任者を通じた確認が前提になる

現場での判断基準

結論からいえば、選別工程の設計を見直すべきタイミングは、許可品目の見直し・優良認定の更新・受入品目の変化のいずれかが起きたときだ。

これは選別作業の技術的な問題ではなく、許可・契約・報告の整合性の問題だ。選別の手順書だけを更新しても、許可証・委託契約書・マニフェストの記載が追いついていなければ、現場の運用が条文上の基準からずれていく。

判断フロー

  1. 搬入予定の混合廃棄物の品目構成を確認する——自社の許可品目に含まれない品目が想定される場合、受入前に排出事業者と品目区分を再確認する。

  2. 特管の混入可能性を確認する——疑いがある場合、特別管理産業廃棄物管理責任者に選別前の時点で報告する。

  3. 選別後の品目構成を記録する——選別によって当初のマニフェスト記載と品目構成が変わった場合、実績欄・JWNETの処分終了報告に反映する。

  4. 優良認定の更新時期を確認する——優良産廃処理業者認定制度の更新要件に処理実績の開示が含まれる場合、選別工程の記録がそのまま根拠資料になる。

  5. 委託契約書の品目欄を見直す——受入実績が契約時の想定と継続的にずれている場合、契約書自体の見直しを検討する。

混合廃棄物の受入量が増え、許可品目の範囲に収まらない品目が定常的に混入するようになったなら、選別工程の見直しだけでは対応できない。その前に、許可品目そのものの拡張や、委託契約書の記載範囲の見直しを検討する必要がある。逆に、混入が一時的・例外的なものであれば、選別工程の一次選別ステップを強化するだけで足りる。どちらに当たるかは、選別担当者の実感ではなく、マニフェストの実績記録を数か月分並べて判断するのが実務上の基準になる。

よくある質問

自社の許可品目に含まれない廃棄物を処分する目的で選別する場合は許可の範囲外になります。廃棄物処理法上、処分業の許可は品目ごとに与えられるため、搬入前に許可品目との照合が前提になります。

この記事の出典
  1. 環境省『産業廃棄物排出・処理状況調査』(令和5年度実績) https://www.env.go.jp/recycle/waste/sangyo.html
  2. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137